糖尿病

糖尿病治療

糖尿病治療は「連携」が鍵です。
糖尿病は、血糖値のコントロールだけでなく、目・腎臓・神経・心血管・歯周病など、全身に影響を及ぼす病気です。
そのため、治療には複数の診療科が関わる「チーム医療」が欠かせません。

かかりつけ医・眼科・歯科との連携

  • かかりつけ医(内科):日常の診療・薬物療法・生活習慣指導が中心
  • 眼科:糖尿病網膜症や黄斑浮腫など、視力に関わる合併症の早期発見と治療
  • 歯科:歯周病は糖尿病の悪化要因。口腔ケアも血糖コントロールに影響します

これらの診療科が連携することで、合併症の予防・早期発見・治療の継続性が確保され、患者さんの生活の質が守られます。

糖尿病手帳の活用:情報共有のツール

日本糖尿病学会・日本糖尿病協会が発行している「糖尿病連携手帳」や「糖尿病眼手帳」は、患者さんと医療者をつなぐ大切なツールです。

JADEC連携手帳(旧:糖尿病連携手帳)(日本糖尿病協会 編)

  • 血糖値・HbA1c・体重・血圧などの記録欄
  • 食事・運動・服薬状況の記録
  • 医師・看護師・栄養士・薬剤師などのコメント欄
  • 眼科・歯科・内科などの受診履歴を一元管理

糖尿病眼手帳(日本糖尿病眼学会 編)

  • 網膜症や黄斑浮腫の診断・治療履歴
  • 抗VEGF薬の投与歴などの記録欄
  • 眼科と内科の情報共有を促進

これらの手帳は、診療の中断を防ぎ、患者さん自身が治療に主体的に関わるきっかけにもなります。2020年時点で糖尿病眼手帳は280万部以上が発行され、視覚障害の予防に貢献していると報告されています。

当院の連携体制

当院では、糖尿病治療において以下のような連携体制を整えています。

  • かかりつけ医としての継続的な診療と生活習慣支援
  • 眼科・歯科との連携紹介体制の整備
  • 糖尿病手帳の活用推進と記録支援
  • 患者さんが安心して治療を続けられる環境づくり

「医師・患者・スタッフ・地域医療機関」が一体となって、糖尿病と向き合うことが、合併症の予防と健康維持につながります。

糖尿病手帳の詳細・入手方法は日本糖尿病眼学会公式サイトをご覧ください。
Sources:日本糖尿病眼学会 糖尿病眼手帳 / 日本糖尿病学会 地域連携パス / 糖尿病手帳を用いた地域連携資料

糖尿病は、ひとりで抱え込む病気ではありません。医師だけでなく、眼科・歯科・栄養士・運動療法士など、多くの専門職が関わることで、より安全で効果的な治療が可能になります。
「糖尿病手帳」は、患者さん自身が治療に参加するための大切なツールです。記録することで、変化に気づき、医療者との対話が深まります。ぜひ、手帳を活用しながら、一緒に健康を守っていきましょう。

糖尿病の種類と治療の考え方

1型糖尿病と2型糖尿病の違い

糖尿病には大きく分けて「1型」と「2型」の2種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。

1型糖尿病※

  • 自己免疫などの影響で膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンがほとんど分泌されなくなります
  • 若年発症が多いですが、高齢になってから発症する場合もあります
  • 治療にはインスリン注射が必ず必要です

2型糖尿病

  • インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性)ことと、分泌不足が重なって起こります
  • 中高年に多いですが、生活習慣の影響で若い人にも増えています
  • 食事・運動療法が基本で、必要に応じて薬物療法を併用します

どちらも血糖値が高くなる病気ですが、発症の仕組みや治療方針には違いがあります。

※1型糖尿病はインスリン治療や教育が不可欠なため、初期診断・治療導入は専門施設での管理が推奨されます。
当院では、必要に応じて速やかに専門医療機関をご紹介し、その後の生活支援や地域での継続診療をサポートいたします。

治療は「薬だけ」では不十分です

現在の糖尿病治療では、内服薬やインスリン療法だけで血糖値を安定させることは難しいケースが増えています。特に2型糖尿病では、生活習慣の改善が治療の柱となります。

治療の三本柱

1.食事療法

  • 野菜・魚・海藻・きのこ類を中心に、糖質・脂質・塩分を適切に管理
  • 果糖ブドウ糖液糖(清涼飲料水など)の制限も重要

2.運動療法

  • 1日7000歩程度のウォーキングや軽い筋トレが推奨
  • 無理なく続けられる運動を、個別に提案します

3.生活習慣の見直し

  • 睡眠不足や慢性的なストレスは血糖値を悪化させます
  • リズムある生活と心の安定も治療の一環です

栄養状態と糖尿病の関係について(参考)

糖尿病には1型・2型のほか、妊娠糖尿病や遺伝性の特殊型など、さまざまなタイプがあります。近年、国際的には「5型糖尿病(栄養欠乏関連糖尿病)」という新たな分類も提唱されています。
これは、小児期からの栄養不良が原因で膵臓の発達が障害され、インスリン分泌が不十分になるタイプで、特にアジアやアフリカなどで報告が増えています。日本ではまだ一般的ではありませんが、高齢者や低栄養状態の方において、類似の病態が存在する可能性も指摘されています。
当院では、患者さんの栄養状態や生活背景も含めて、適切な糖尿病のタイプを見極めたうえで、最適な治療方針をご提案しています。

5型糖尿病とは

2025年に国際糖尿病連合(IDF)が提唱した新しい糖尿病分類で、小児期からの慢性的な栄養不良が原因で膵臓の発達が障害され、インスリン分泌能力が低下する病態です。

主な特徴

  • 発症要因:栄養不良(特に小児期)
  • 体型:痩せ型が多い
  • インスリン抵抗性:なし
  • 治療:インスリン不要な場合もあり、経口薬で対応可能
  • 誤診例:1型や2型糖尿病と誤診されていたケースが多い

疫学的背景

  • 主にアジア・アフリカなどの低・中所得国に多く、世界で約2,000万〜2,500万人が罹患していると推定されています。
  • 日本では正式な診断名としては未採用ですが、高齢者や摂食障害患者など、栄養不良と糖代謝異常が関係する病態に対して注意が必要です。

糖尿病は”血管の病気”って本当ですか?

糖尿病は「血管の病気」でもあります。
糖尿病は単に「血糖値が高い病気」ではありません。実は、血管を静かに蝕む病気でもあります。高血糖状態が続くと、血管の内皮細胞が傷つき、動脈硬化が進行。結果として、心筋梗塞や脳卒中、腎不全、網膜症など、命に関わる合併症を引き起こす可能性があります。

血糖値だけじゃない。糖尿病の”見えない影響”

AGEs(終末糖化産物)とは?

AGEsとは、糖とタンパク質が結びついてできる「体内の焦げ付き」のような物質です。高血糖状態ではこのAGEsが大量に生成され、以下のような悪影響を及ぼします。

  • 血管壁を硬化させ、動脈硬化を促進
  • 細胞の老化を加速し、認知症や腎障害のリスクを上昇
  • インスリンの働きを妨げ、糖尿病を悪化させる

AGEsは体内で作られるだけでなく、食事からも摂取されます。特に「焼く」「揚げる」など高温調理された肉類や加工食品に多く含まれます。逆に、「煮る」「蒸す」「茹でる」といった調理法ではAGEsの生成が抑えられるため、和食中心の食生活は糖尿病予防に有効です。

果糖ブドウ糖液糖(HFCS)に要注意

清涼飲料水や加工食品に多く使われている「果糖ブドウ糖液糖(High Fructose Corn Syrup)」は、血糖値を急激に上昇させるだけでなく、肝臓での脂肪合成を促進し、インスリン抵抗性を悪化させることが分かっています。

  • 果糖はAGEsを生成しやすい糖質であり、血管へのダメージが大きい
  • 脂肪肝やメタボリックシンドロームのリスクを高める
  • 糖尿病の発症リスクを上げるという研究結果も報告されています

「甘い飲み物は控える」「原材料表示を確認する」など、日常のちょっとした意識が、血管と健康を守る第一歩です。

最新研究からの知見(2025年)

  • AGEsを抑える食事法:野菜中心・低温調理・抗酸化食品(緑茶、ブルーベリーなど)が有効
  • ブラックコーヒー1杯で糖尿病リスク10%減(ただし無糖に限る)
  • 週1回投与の新インスリン製剤「efsitora」が登場し、治療の負担軽減が期待されています

※当院では取り扱っておりません

当院の取り組み

当院では、糖尿病を「血管病」として捉え、以下のような多角的なアプローチを行っています。

  • 血管年齢測定や動脈硬化リスク評価
  • 最新の薬物療法の導入と副作用管理
  • 生活習慣改善を支えるチーム医療

糖尿病は「自分でコントロールできる病気」です。血管を守ることは、未来の自分を守ること。気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

※1型糖尿病と診断された場合、重度の高血糖症状の場合は、専門病院にご紹介させていただくことがございます。

とうやまクリニック 院長

頭山 尚子(とうやま しょうこ)

所属学会・専門

医学博士・日本内科学会認定総合内科専門医・日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・日本医師会認定産業医・順天堂医学会・東亜医学協会・日本超音波検査学会

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内科・リウマチ内科

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