使用する薬の種類
経口DMARD(csDMARD)について
| 薬剤名(商品名) | 主な作用機序 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|
| メトトレキサート (リウマトレックス) | 葉酸代謝阻害 | Anchor Drugとして最も推奨される。葉酸併用で副作用軽減。妊娠希望者は使用不可。 |
| サラゾスルファピリジン (アザルフィジン) | 炎症性サイトカイン抑制 | 消化器症状が出やすいが、比較的安全。 皮疹 |
| イグラチモド (ケアラム) | 炎症性サイトカイン抑制+骨破壊抑制 | 肝機能障害に注意。 口内炎 腎障害 |
| ブシラミン (リマチル) | SH基による免疫調整 | 日本独自の薬剤。腎障害に注意。 間質性肺炎 |
| タクロリムス (プログラフ) | T細胞活性抑制 | 免疫抑制力が強く、慎重な管理が必要。 糖尿病 高額 |
※MTXは週1回の服用で、葉酸製剤を併用することで副作用を軽減できます。副作用には口内炎・肝機能障害・間質性肺炎などがあり、定期的な血液検査と胸部レントゲンが重要です。
生物学的製剤(bDMARDs)・分子標的合成薬(tsDMARDs)について
関節リウマチの治療には、炎症の原因となる物質(サイトカインや免疫細胞の働き)を直接抑える薬があります。これらは生物学的製剤やJAK阻害薬と呼ばれ、従来の薬よりも強力に炎症を抑え、関節破壊の進行を防ぐ効果が期待されています。製造過程が複雑なため費用は高額ですが、症状改善や生活の質の向上に役立ちます。薬ごとに投与方法や注意点が異なるため、患者さんの生活や希望に合わせて選択していきます。
生物学的製剤(bDMARDs):サイトカインや免疫細胞を直接標的
TNF阻害薬
炎症を強く進める物質「TNFα」が受容体に結合するのを防ぎ、炎症のスイッチを止める薬です。
TNFα阻害薬には複数の種類があり、投与方法・妊娠中の使用可否・MTX併用の必要性などに違いがあります。
| 薬剤名(商品名) | 投与間隔 | 投与方法 | 特性 | 注意点 | MTX併用 |
|---|---|---|---|---|---|
| インフリキシマブ (レミケード®) | 初回0・2・6週 その後は8週ごと | 病院で点滴静注 | 抗薬物抗体(ADA)が出やすい。 MTX併用で安定。 | 結核再活性化・感染症 | 必須 |
| アダリムマブ (ヒュミラ®) | 2週毎 | 皮下注(自己注射可) | 完全ヒト型抗体で中和抗体が出来にくい | 感染症、妊娠後期は胎盤移行性あり | 望ましい |
| エタネルセプト (エンブレル®) | 週1〜2回 | 皮下注(自己注射可) | 妊娠中使用経験あり | 感染症 注射部位反応 | 望ましい (妊娠中・希望時は中止) |
| セルトリズマブ (シムジア®) | 初期2週ごと →4週毎 | 皮下注(自己注射可) | 胎盤移行性ほぼなし | 感染症 妊娠・授乳期 に選択肢 | 望ましい (妊娠中・希望時は中止) |
| ゴリムマブ (シンポニー®) | 月1回 | 皮下注/点滴 | 投与間隔が長い | 感染症 | 必須 |
| オゾラリズマブ (ナノゾラ®) | 月1回 | 皮下注(自己注射可) | 日本ナノボディ製・炎症部位到達性に優れる | 感染症、結核再活性化 | 併用望ましいが単剤も可 |
IL6阻害薬
IL-6が受容体に結合するのを防ぎ、炎症シグナルを遮断することで症状を改善します。
| 薬剤名(商品名) | 投与間隔 | 投与方法 | 特性 | 注意点 | MTX併用 |
|---|---|---|---|---|---|
| トシリズマブ (アクテムラ®) | 点滴4週毎/皮下注2週ごと | 点滴/ 皮下注 | 単剤でも有効 | 感染症に注意、注射部位反応、血液検査での管理が必要 | 併用不要。単独でも効果が確認されている |
| サリルマブ(ケブサラ®) | 2週毎 | 皮下注射 | アクテムラで効果不十分・副作用が出た場合の代替選択可能 | アクテムラよりやや高額。 感染症に注意、注射部位反応、血液検査での管理が必要 | 併用が望ましいが、単独でも効果があるとされている |
CTLA4-Ig製剤(T細胞共刺激調節薬)
TNF阻害薬やIL-6阻害薬が炎症性サイトカインを直接抑えるのに対し、T細胞活性化そのものを制御します。
| 薬剤名(商品名) | 投与間隔 | 投与方法 | 特性 | 注意点 | MTX併用 |
|---|---|---|---|---|---|
| アバタセプト (オレンシア®) | 点滴4週毎/皮下注週1回 | 点滴/皮下注 | T細胞抑制・効果は緩やか 感染症リスクは比較的低め | 感染症 | 望ましい |
分子標的合成薬(tsDMARDs)
JAK阻害薬
細胞内のシグナル伝達を止めることで炎症を抑える飲み薬です。複数のサイトカインを同時に抑えられる点が特徴で、生物製剤に匹敵する効果を持ちますが、感染症や血栓症などの副作用には注意が必要です。
| 薬剤一般名 (商品名) | 投与間隔 | 阻害するJAK | 特質 | 注意点 | MTXとの併用 |
|---|---|---|---|---|---|
| トファシチニブ (ゼルヤンツ®) | 1日1〜2回 | 経口 | JAK1/2/3 非選択的 肝代謝主体 腎排泄一部 | 幅広く作用し効果強い。幅広く作用するため副作用など詳しくは医師と相談 | 感染症に注意、帯状疱疹が出やすい、血栓リスク |
| バリシチニブ (オルミエント®) | 1日1回 | 経口 | JAK1/2 腎臓からの排泄が主体 | 効果と安全性のバランスが良いが腎機能で調節必要 | 感染症に注意、腎機能が弱い方は用量調整が必要 |
| ペフィシチニブ (スマイラフ®) | 1日1回 | 経口 | JAK1/2/3 非選択的 肝代謝主体 腎排泄一部 | 日本開発薬で用量調整により安全性を工夫 | 感染症に注意、帯状疱疹が出やすい |
| ウパダシチニブ (リンヴォック®) | 1日1回 | 経口 | JAK1選択的 肝代謝主体 腎排泄一部 | 効果が安定しやすく、飲み薬で便利。 炎症抑制に集中しやすく副作用リスクが比較的低い | 感染症に注意、帯状疱疹が出やすい、血栓リスク |
| フィルゴチニブ(ジセレカ®) | 1日1回 | 経口 | JAK1選択的 肝代謝主体 腎排泄一部 | 欧州中心に使用、効果は安定だが日本での経験はまだ少なめ | 感染症に注意、帯状疱疹が出やすい、血栓リスク |
とうやまクリニック 院長
頭山 尚子(とうやま しょうこ)
所属学会・専門
医学博士・日本内科学会認定総合内科専門医・日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・日本医師会認定産業医・順天堂医学会・東亜医学協会・日本超音波検査学会
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